カロリーベースとは? 自給率には2種類あるのを知ってる?

食料自給率の計算でカロリーベースと何か知っていますか?自給率の計算法は2種類存在しているということは意外と知られていません。今回はカロリーベースと生産額ベースの2つの計算方式の特徴や違いについてまとめました。

食料自給率とは?

食料自給率とは、国内の食料消費に関して国産の食料でどの程度カバーできるのかを占めす指標のことです。従来、日本の自給率は約40%と言われており、半分以上を海外の食料に頼っている状況を問題視する声が主流となっていました。

しかし食料自給率とは、正確には2つの計算方法があり、カロリーベースと生産額ベースがあります。日本で主に使われているのはカロリーベースで、実は海外では生産額ベースが主流です。この2つの計算方式はどのような違いがあるのでしょうか?

カロリーベース食料自給率とは?

カロリーベースの意味

国民1人が1日あたりで必要なカロリー量を、国内食料のカロリーでどれほどカバーできるかという計算方法です。生産された食糧の重量を熱量(カロリー)に置き換えて計算します。

計算方法

例えば平成25年のカロリーベースの食料自給率は、以下のように計算されます。

  1. 1人1日あたりの必要カロリーは2,424kcal
  2. 国内食料で1人1日あたり提供できるカロリーは939kcal
  3. 939/2,424=39%

カロリーベースを用いているのは世界でも日本ぐらいで、ほかの国はほぼ生産額ベースの食料自給率を採用しています。

生産額ベース食料自給率とは?

生産額ベースの意味

生産された食料を金額に置き換えて計算する自給率のことです。農業物価統計にある品目ごとの価格を生産量にかけ合わせて、生産額を算出します。

計算方法

平成25年の生産額ベースの食料自給率は以下のように計算されます。

  1. 食料の国内生産額はすべて足し上げると9.9兆円
  2. 食料に関する国内消費志向額は15.1兆円
  3. 9.9/15.1 = 65%

カロリーベースでは39%だった自給率が、生産額ベースでは65%となります。なぜこれほどまでに大きく異なる結果になるのでしょうか。

カロリーベースと生産額ベースの違い・問題点

カロリーベースについて

カロリーベースでは熱量の高い品目のカウントが重要になります。ここで問題になってくるのが牛肉・豚肉などです。牛・豚・鶏に関しては、飼育するための餌が外国産であると、日本産の肉とは扱われないのです。畜産業界では海外の餌を使うことが主流になっているため、大部分の肉が国産としてカウントされず、結果としてカロリーベースでの自給率の低さにつながっています。

また、カロリーベースでのもう1つの問題点は廃棄の多さです。自給率の計算での分母には廃棄された食料が含まれているのです。日本は食料廃棄が多いとされているので、必然的に自給率が低くなります。国内の生産量を増やすよりも、廃棄を減らすほうが自給率が低くなるのではないかと見る専門家もいます。

生産額ベースについて

生産額ベースの場合、品目ごとの金額が物を言います。例えば日本産の野菜や果物は高価であるといわれているため、生産額ベースでの自給率を押し上げる1つの要因となっています。野菜・果物はカロリー自体は低いため、カロリーベース自給率での貢献度は低くなります。

ただし、金額に換算すると高額な食料のウェイトが高くなります。高額な食糧は高付加価値ではありますが、生きていくうえで絶対に必要とは言いきれないものも多いです。そのような食料が大きく自給率に貢献してしまうことに対しての疑問も生まれますね。人間が生きていくために必要な分をどれほどカバーできるかという視点を考えると、生産額ベースも完璧ではありません。

なぜカロリーベースなのか

国際的にごく一部の国しか採用していないカロリーベースの数字に、なぜ日本政府や農林水産省はこだわっているのでしょうか。ここからはあくまでも推測としてお伝えしますが、わざと低いほうの自給率を大々的に発表して、国民の食料に関する不安を煽っている可能性があります。

なぜ低い自給率を煽るのかというと、国産の食料が大切であるという考えに持っていくことで、農業に関する予算や補助金を確保することが目的である可能性があります。自給率が低すぎるから、国内農業をもっと盛んにしなくてはならない。そのためにはお金がいるというロジックですね。

カロリーベースばかりを打ち出す農林水産省に対し、ほかの省庁からは生産額ベースも見るべきなのではないかという声も一部上がっているようです。

カロリーベースも生産額ベースもチェック

カロリーベースは、生きていくためのエネルギーという観点からは必要な指標と言えます。生産額ベースに比べると経済的な変動の影響は受けにくいと言えるでしょう。一方で経済価値の観点からは生産額ベースのほうが適していて、海外は生産額ベースを採用しています。
カロリーベース・生産額ベースともに計算上で注意しなくてはならない要素があり、両方ともメリット・デメリットがあります。今後の自給率を語る上ではどちらの計算方法もみるべきではないでしょうか。カロリーベースでの低い自給率だけを見て危機感を感じるだけでは、本当のことはわからないのかもしれませんよね。